えんける道具店オリジナルの甕を生産していただいた、菱登製陶所さんの窯元を見学させていただきました
400年続く焼き物、高田焼の伝統を守り続ける「菱登製陶所」さん
菱登製陶所さんの家系は、高田焼の歴史と同じく400年前より、家族総出で焼き物をつくってこられました。
地方の風習に使う盃や徳利などの伝統的な陶器製品を、今でも変わらず作り続けておられます。
昭和50年代に法人化をされた菱登製陶所さん。
今は、2代目にあたる加藤さんとご両親との3人で、製品つくりをされています。
この度、菱登製陶所さんのご協力により、当店オリジナルの「えんける道具店の甕」の生産をしていただくことになりました。
がば鋳込み製法という作り方で作られる陶器製の容器です。
今では珍しくなった言われる、がば鋳込み製法の生産風景を見学させていただき、二代目の社長さんの加藤さんへお話を聞かせていただきました。
原料の高田地方の陶土
山の中からとってきた粘土を、精製して不純物を取り除き、プレス機で板状にしたものと、水をまぜて土づくりをします。
高田の陶土は、土と水だけで整形できる土になり、添加剤が少なくても使える土。シンプルな土で、どんな焼き物風にも仕上がるのが特徴だと教えてくださいました。
成形(がば鋳込み製法)
がば鋳込み製法といわれる方法で成形をしていきます。
今では少なくなった製法で、他の製法と比べると一度にたくさんの量を生産するのが難しい製法だそうです。
トロトロの状態の土を石膏型へ流していきます。
石膏型が水分を吸うため、めいっぱい土を流し込むそうです。
鋳込みに使っているこの機械は、昭和47年製のもので50年たつ今でも大切に使っているそうです。
1時間半~2時間(天候や季節によって変わる)くらい置いてから、中の土を落としていきます。
1時間半たった土は、水分が少なくなって、表面が下がっています。中はどろどろの状態ですが、石膏型についている部分の土は固まっているそうです。
中の土を落として、乾くまでさらに30分ほど待ちます。
乾燥
板へ乗せて、お日様へあてて2~3日ほど乾燥させます。
外で乾燥をさせるには広いスペースが必要なため、機械で乾燥を
行う窯元さんもいるそうです。
菱登製陶所さんは、日光へ当てて乾燥の工程を行っておられました。
釉薬付け
乾燥した甕へ釉薬をつけていきます。
甕の内側と外側とで、釉薬の付け方が違うところを見せていただきました。
甕の内側には透明釉を、手押しポンプで吹き付けているんだそうです。数回ポンプを押すと、まんべんなく釉薬がつくそうです。
甕の内側につける透明釉。桶に入っていました。
外側の釉薬は、白マットの釉薬をつかっていただきました。仕上がりの色とは全然違う色をしているので不思議です。
甕の外側に釉薬をつけるときは、釉薬の入った桶の中へ、逆さにした甕を静かに沈めていきます。
とても腕力のいる作業で、甕つくりの中でも一番緊張感のある工程だと、おっしゃってみえました。
道具と甕とのバランスで、釉薬のつき方の仕上がりに差ができると、お話をしてくださいました。
焼成
本体と蓋とをセットして、焼成していきます。焼成の温度によって、釉薬の色の出方などが変わってくるのだそうです。
菱登製陶所さんの焼窯。
400年続く焼き物、高田焼の伝統を守り続ける「菱登製陶所」さん
菱登製陶所さんの家系は、高田焼の歴史と同じく400年前より、家族総出で焼き物をつくってこられました。
地方の風習に使う盃や徳利などの伝統的な陶器製品を、今でも変わらず作り続けておられる窯元さんです。
例えば、とある九州地方で使われる、お酒を酌み交わすための盃など、今では他で生産をしておらず、菱登製陶所さんへ依頼があったそうです。そういったご依頼にも柔軟にお応えしている菱登製陶所さん。
工程の中で聞くお話も、とても丁寧で、親切に説明してくださいました。
素朴で温かみのある製品つくり、高田の焼き物の伝統と、昔から続く製品の持つ風習を、今でも守り続けている姿がとても印象的な菱登製陶所の加藤さんでした。
貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました。