急須職人、梅原タツオさんの窯元を見学させていただきました(ロクロの工程・27年使い続ける道具など)
創業71年目の北龍窯さんの3代目となる急須職人さん、梅原タツオさんの工房を訪ねました。
梅原タツオさんのつくる急須は、原料となる陶土つくりから細かな部品のようなところまで、すべての工程が手作り。
月に1200~800個ほど(1日に30個ほど)の急須を、おひとりでつくっておられる職人さんです。
ろくろで急須を作る工程や、工房、窯や工房に並ぶ様々な機械を見せていただきました。
成形の作業場や道具
「急須職人さん 独特のろくろ」
梅原タツオさんの使うロクロは、急須職人さん専用のロクロだそうで、作業場はとてもスッキリと整っていました。
「道具は数個ほど、修業時代から使っている27,8年もの」
ろくろで使う道具たちは、修業時代のころから、ずっと同じものを使っているそうです。
水に強くしなりのある柘植の木の道具。菜箸や割りばしなどの暮らしになじみのあるものなどもありました。元は長かったお箸は長く使っていることで、短くなってしまったそうです。
「250cc前後の急須をつくる場合は、原料の陶土の量は210グラム」
手に取る原料の陶土の量で、急須の大きさ・容量が決まってくるそうでうす。手に取る陶土の量は、手の感覚でわかるとおっしゃってみえました。
この陶土の重みというのは、陶土の型さによって日々違いがあるのだそう。ろくろをひく前日には、土の状態をチェックして、手の加減で調整しているそうです。
実際にロクロで急須を成形する工程を見せていただきました
梅原タツオさんの手に取った陶土は、ロクロで回転されながらあっという間に急須の丸いフォルムへ形が出来上がっていきました。
寸法を測る道具で、大きさの確認をしています。
蓋や注ぎ口、取っ手もすべてをロクロで手作りされています。
どのパーツもあっという間に出来上がっていきました。
「手が覚えてる」
1時間で24個、1個あたりを2分30秒でつくられるそうです。「手が覚えてるから、話をしながらでも出来る」とおっしゃってみえたのが、とても印象的でした。
環境や天候の具合をみながら乾燥
ロクロで形を作った急須はパーツごとに乾燥させてから、組み立てていくそうです。組み立てた後さらに乾燥させて、削ったり動物の皮で磨きをかけたりして仕上げていくそうです。
乾燥をさせるときに使う缶がたくさん積んでありました。
置く場所で乾燥の具合がかわるため、均等に乾くように置き方にも工夫がされていました。
季節や置き場所の環境などにより乾き具合が変わってくるそうです。
茶こし部分もひとつひとつ手作業でつくられています
常滑急須の特徴である陶製茶こしのパーツも、梅原タツオさんの工房で一つ一つつくられています。
土を伸ばす機械や抜き型、穴をあける機械などが並んでいました。