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2020-12-14

甕(かめ)と常滑(とこなめ)

古い歴史とともに暮らしを支えてきてくれた甕(かめ)

かめの歴史は古く、縄文時代から人々のくらしにかかせないモノとして使用されてきたといわれます。

現代に見かける甕は、釉薬の処理がなされたつるりとした表面の陶器製の甕。

中世になり、こういった甕が製造されるようになると、お醤油やお酒、お酢や油の貯蔵容器として使われたり、お味噌や漬物、梅干しなどの食品つくりの道具として使用されました。

水道が普及する以前は、井戸から汲んだ水を甕に移し入れて、大切に水を使っていたそうです。

 

有名な甕の窯場であった、常滑焼

常滑焼を代表する製品の一つであった、とこなめ甕。

大きな甕を焼く窯場は、重く大きな甕を船で輸送するため、海辺近くの限られた窯場で焼かれます。

愛知県の常滑市は日本の中心に位置し、北は青森県から南は鹿児島県まで、全国の中世遺跡において出土されるほど、広く流通していたとされています。

しかしながら、近代になるにつれガラスやほうろう、鉄器、プラスチックなどが発達し、くらしの中で甕の役割は大きく減少していってしまいました。残念なことに、廃業する窯も見られるほどです。

 

 1000年続いていると言われる「常滑焼」

常滑焼は日本六古窯(にほんろくこよう)に数えられています。

日本六古窯とは、鎌倉・室町時代に陶器生産を開始し、現代まで継続している陶器産地という基準で選ばれた、6箇所の窯業地。他は瀬戸、越前、信楽、丹波、備前の5つです。

日本六古窯の中でも常滑焼は、日本六古窯の中で最も古く規模が大きいといわれています。

平安時代後期頃から中世にかけて生産された、「古常滑(ことこなめ)」と呼ばれる焼き物は、太平洋に沿って日本全国に広まったと言われています。

明治時代になると、土管やタイルなども生産されるようになり、近代的な窯業の町に発展しました。

現代でも、タイルや衛生陶器、食器や茶器など、沢山のやきものがつくられています。

市名でもある「常滑(とこなめ)」とは、土壌に由来すると言われ、「常」は「床」で地盤のことをいい、「滑」は「滑らか」という意味があります。

常滑の地は古くから粘土層の露出が多く、その性質が滑らかなため「とこなめ」と呼び、そうした習俗が地名として定着していったそうです。

 

「やきもの」に囲まれた、訪れる人たちをあたたかく迎え入れてくれる常滑の町

やきもの散歩道のある旧市街には、レンガ煙突や古い焼窯が至る所に残っています。

窯業で栄えた古くからの町並みがそのまま残っており、登り窯や黒板塀、「土管坂」などの、レトロな景観を楽しめます。

西側が伊勢湾に面していることから、坂道の多いやきもの散歩道の坂の上からは、綺麗な夕日を眺めることができます。

温暖な気候やレトロな景観、窯業として栄えた町ならではの、地域愛のある温かい市民の皆さん。常滑の町は、どこか懐かしくてホッとする気分になれる、長く続く優しい町です。

 

昔ながらの「とこなめ甕」販売をさせていただけることになりました

常滑の町、やきもの散歩道のとある窯元さんとの出会いを通じまして、この「とこなめ甕」とのご縁に恵まれました。

今では生産されていない、貴重なレトロ甕。おひとつおひとつを大切にお届けさせていただきたいと思います。

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