愛知県碧南市で、七輪をつくられている亀島さんご夫婦 の窯元を見学させていただきました
亀島製陶所の3代目にあたる職人さん、亀島さんご夫婦の窯元を見学させていただきました。
亀島製陶所さんは、愛知県碧南市で、昭和初期より七輪を作り続けている窯元さんです。
七輪つくりをされて25年になる亀島さんご夫婦。
七輪つくりの工程を見せていただいたり、原料の陶土についてのお話などを聞かせていただきました。
原料の陶土
亀島さんの窯元では、石川県の能登地方の珪藻土を使い七輪を作っておられます。
能登地方の珪藻土は熱に強く、七輪に適しているそうです土だそうです。
他の産地の珪藻土になると粘土質が強く重たかったりなどして、珪藻土と呼ばれる土でも産地によって特徴が違ってくるそうです。
土の塊を持たせてもらいました。大きな土の塊は、石のように見えて重たそうに思いましたが、持ってみたところ想像よりも軽く感じました。
この珪藻土は、機械をつかって工房の中へ運ばれていきます。
工房の中へ運ばれた土は、砕いたり、水を加えて調整が行われ、ゴンドラのような機械で運ばれて室内を移動していきます。
調整された土は、成形に使う機会の近くに集まっていました。
プレス機械で成形するところを見せていただきました
型に土を入れ、機械で圧縮して成形されていきます。
型に土を入れたときは山盛りだった土は、機械で圧縮されてあっという間に七輪のかたちに出来上がっていました。
圧縮されて成形された七輪は、色が濃くなっているように感じました。
気候の影響で固さなどが変わってくるそうで、程よい固さに仕上げるために、水をかけたりして仕上がりを調整しているのだそうです。
成形した七輪は、乾燥させる前に磨かれていきます
成形した七輪を乾燥させる前に、ロクロを使って表面を軽く磨いていくそうです。
この段階で、面取りなどをしておいてから、乾燥させるそうです。
磨かれた七輪は、ふちのガタガタの部分がなくなって、つるりとした表情に変化していました。
外に干して、乾燥させていきます
磨かれた七輪は、1か月ほど、自然乾燥させているそうです。
乾いた七輪は、白っぽい色になっていました。
乾燥させることで水分が抜けて、6キロほどあった七輪は5キロくらいに重さが変わるそうです。
窯へ入れ、焼成していきます
亀島さんご夫婦の工房のだるま窯を見させていただきました。
亀島さんの工房の機械や窯は、何十年も大切に使われ続けている、歴史を感じる設備です。
見学させていただいたときはちょうど焼成中で、だるま窯の口は土や陶器で壁を作って、ふさがれていました。
600~700度の温度で焼成するそうで、温度や時間などは職人さんならではの勘が働くそうです。
また、天候や風の強弱によっても、焼成のしやすさが変わってくるのだそうです。
窯出しした七輪を仕上げていきます
焼成された七輪は、オレンジ色のような茶色へと変化していました。
素焼の状態の焼成した七輪は、傷などを埋めたりして、細かな修正をされていきます。
傷を修正した七輪は、ロクロで回しながらペーパーをかけ、表面を削って滑らかに仕上げられていきます。
その後、七輪の全体に塗料を吹きかけ、塗装をしていき、金具や空気を送る戸口部分などをつけて亀島さんの七輪は完成します。
今も七輪をつくり続けている、亀島さんご夫婦
愛知県三河地方は七輪の産地といわれ、数十件の七輪をつくる窯元さんがみえたといいます。
ですが、時代の移り変わりとともに、窯元さんのほとんどが撤退してしまったそうです。
亀島製陶所さんは、おじいさんの代、昭和初期のころから七輪を作り続けておられます。
七輪つくりの技術を受け継ぎ、今でも一つ一つを丁寧につくり続けている、亀島さんご夫婦です。
プレス機械で成形する工程、磨いて仕上げていく細やかな工程、乾燥させたり焼成させたりする自然との調整が必要な工程など、とても丁寧に教えてくださりました。
長く大切に使われている機械や窯とともに、丁寧に七輪つくりをされておられることが印象的な亀島さんご夫婦でした。
貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました
インタビュー時の音声をもとに、レポート記事を書いております。
工程の途中に出てくる用語などには、聞き違い等による違いがあるかもしれません。
ご了承いただけますと幸いでございます。