誠実な手仕事に出逢いました。【黒七輪・成形】
黒七輪の生産者である職 杉浦さんは、2019年12月をもちまして、七輪生産を退かれました。
現在は、愛知県三河地方で高橋さんという職人さんが、杉浦さんより黒七輪の生産を継承されておられます。
2020年より、当店にて販売をさせていただいている黒七輪は、高橋さんのつくる黒七輪となっております。
こんにちは。
えんける道具店です。
えんける道具店の七輪は、愛知県三河産の丈夫な土を使用して作られている黒七輪です。
日本でこの黒七輪をつくっておられるのは、杉浦さんただお一人。そんな杉浦さんの工房を訪ねました。
待っていた出逢いは、杉浦さんの誠実で丁寧な「手仕事」と「人柄」でした。
杉浦さんの黒七輪は二重構造。外側は愛知県三河産の三河土(黒色の部分)、内側は珪藻土(白っぽい部分)で作られています。外側部分と内側部分、それぞれに成形していきます。
「何事も準備が大切。」と言って、エプロンを身に着ける杉浦さん。
1、成形
まずは、空気口をつくる際に必要な、粘土の準備から始まります。
空気口は黒七輪のこの部分。三河土で作られているこの空気口は丈夫く、黒七輪の長持ちする秘訣でもあります。
へこんでいる箇所に粘土を埋めています。細やかな作業です。
白い粉をふっています。粘土同士が接着するのを防ぐために必要な処理だそう。
針金のような器具を使いカットしていきます。薄い10㎝×20㎝四方のパーツが出来上がりました。
杉浦さんの黒七輪の成形は、「機械ロクロ」を使う方法。
「機械ロクロ」に型をはめ込み、いよいよ成形していきます。
型の中に粘土を入れ、ヘラを当てて成型していきます。ロクロを回し終わった後、粉を降ってカットしていた粘土を貼り付けています。(50秒当たり)
「この作業を70回繰り返します」と杉浦さん。
工房にこうして積んである型は70個ほど。その為一度に生産される数量にも70個と限りがあるのです。
2、乾燥
ロクロから型を外し、乾燥させます。
乾燥させる時間は1日ほど。型の水分の吸収具合によって変わるのだそう。まさに職人の「勘」によるものですね。
工房の外には、二重構造の内側(珪藻土)になる部分が沢山並んでいました。
杉浦さんの黒七輪つくり。この後も、空気口の成形など手作業は続きます。